音楽と変性意識②

演奏を行う際は、かならず強度の差はあれ変性意識状態に引き込まれる。

演奏を聞いていて、重力の感覚を失ったり、幻覚が見える人がいるのはこのためで、

逆にこれをわざと引き出すような技術もある。

演奏をするというと、音大などでは基本的には音のことをメインに指導される。

「音楽を習う」ことイコール「音をうまく出す」ということを習うことのようになっていると思う。

もちろん、音を扱う技術が高いのは、音楽という情報上の臨場感を高め、感情などを共感させることを誘発させやすくなるので、効果的だ。

しかし、音は音楽の中心的存在ではなく、音楽の臨場感を高めるための道具のうちの一つだ。

だから、音を大事にすることは大事だが、それと同等かそれ以上に「脳」の使い方が大事になってくる。

これが演奏の本質はなんなのか、ということに対する、物理的な観点からの答えだ。

そして、音楽を聴く能力のうちの一つでもある。

西洋音楽は音楽は化石のように、情動や細かいアゴーギクが削ぎ落とされて楽譜に記録されている。

そこから出てくる音をたどって、共感覚などを使って臨場感を上げていけば、死んだ作曲家にも会うことが出来る。

作曲家の伝記などをたくさん読むことも大切だが、実際に会うこと(またはそれと同等レベル)によって、人物像がありありとわかるはずだ。

これが本当の「聴く力」で「理解する」ということだ。

「聴く力」は聴力だけの問題ではなく、聴力は道具に過ぎない。

霊などではなく、これは脳がもともと持っている能力を使って起こる現象だ。

「理解を超えた理解」と言うのが適切だと思う。

ABOUTこの記事をかいた人

武蔵野音大卒の声楽家。様々な芸能技法を武田梵声氏に師事しており、音域は8オクターブ(E-1〜E7)に及び、コロラトゥーラなども得意とする。日本とイギリスのハーフで、スペインやベネズエラの血も入っている。人類史上最高の歌手を目指して日々ストイックなトレーニングを重ねている。