世界の大学事情②ロシア・ウクライナ、ベラルーシ

先日のブログでは、日本に隣国である韓国と台湾の大学事情を取り上げてみました。韓国も台湾も、非英語圏の留学先としてはメジャーかつ人気な国なのではないかと思います。実際に日本からの留学生も多いため、大学や留学に関する情報も非常に多く、情報収集に困ることはほぼないでしょう。日本に隣接する国としては、韓国・台湾のほかに、中国、北朝鮮、ロシアがありますね。中国は最近留学先としてとても人気の国となってきており、もはやこのブログで扱うまでもないほど情報が多くなっています。北朝鮮については、基本的に留学するのは不可能と言って良いでしょう。では、残るロシアの大学事情はどうでしょうか。

ロシアは、近年では留学先として注目を集めつつあるものの、他の隣国と比較すると、まだまだマイナーな留学先という扱いになっています。理由としては、やはりロシア語が分からなければ留学できないため、言語の壁が大きなウェイトを占めているのではないでしょうか。他にも、「おそロシア」や「社会主義」のような、特に根拠のないステレオタイプなイメージがあるのかもしれません。また、日本は他の国々と比較すると、ロシア語を専攻できる大学が限られています。例えば、韓国ではほとんどの有名大学にロシア語専攻が置かれているのですが、日本でロシア語を専攻できる大学といえば、東大、東京外大、早稲田、上智を始めとして、10校程度しかありません。

本日は、そんなロシアの大学事情について解説したいと思います。また、合わせてロシアの隣国であるウクライナとベラルーシの大学も少し取り上げます。一応、三国の歴史についておさらいしましょう。ロシア、ウクライナ、ベラルーシはそれぞれ1991年にソヴィエト連邦から独立した国です。ソ連には15の構成共和国が存在しましたが、その中でもロシア、ウクライナ、ベラルーシは中核的な地位を占める国々でした。ソ連は当時、世界屈指の科学力を持つ国家として君臨していました。ソ連とアメリカの宇宙開発競争はとても有名です。1957年、ソ連は世界初の人工衛星「スプートニク1号」を地球周回軌道に送り込み、1959年には月面探査機「ルナ2号」を月面着陸させ、1961年にはガガーリンによる世界初の有人宇宙飛行を成功させるなど、さまざまな成果を挙げていました。このような宇宙開発を支えていた科学技術を生み出したのは、ソ連の大学教育の成果であったとも言えるでしょう。ソ連崩壊に象徴されるように、その国力は一度地に落ちてしまいましたが、近年では、ロシアは再び力を取り戻し、それは教育にも現れつつあるように思います。確かな科学力を持つロシアの大学に留学するメリットは、十分にあると言えるでしょう。

ベラルーシ、ウクライナは少し事情が異なります。というのも、ベラルーシではベラルーシ語の、ウクライナではウクライナ語の教育が行われているからです。しかし、この両国のあいだにも大きな違いがあります。ベラルーシはロシア語とベラルーシ語を公用語としており、教育の場面ではロシア語を使われることが圧倒的に多く、それは大学でも例外ではありません。一方、ウクライナではウクライナ語のみが公用語とされており、ロシア語は排除される方向性となっています。結果として、ベラルーシではロシア語の、ウクライナではウクライナ語の教育が主流となりつつあります。

それでは、具体的にロシア、ウクライナ、ベラルーシの名門大学を見てみることにしましょう。今回は英語圏のランキングである「QS World University Rankings 2019」を参考にしながら、ロシア国内のサイトも使って独自の情報を集めました。

1.モスクワ大学(ロシア)

QS世界ランク:90位

モスクワ大学は、ロシアのみならず旧ソ連圏全域を代表する名門大学です。「ロシアの東大」と呼ばれることもありますが、ロシア語圏全体で知られているため、その影響力は東大以上のものだと言って良いでしょう。モスクワ大学は1755年にモスクワ帝国大学として設立され、非常に古い歴史を持ちます。これまでに6名のノーベル賞受賞者、6名のフィールズ賞受賞者を輩出しています。モスクワ大学のキャンパスは、スターリン様式という社会主義時代の様式で建築され、巨大な城のような外観を持ちます。キャンパスはモスクワ南部に位置し、周囲に高い建物がないこともあって、圧倒的な存在感(威圧感)を放っています。ロシアに留学するならば、まずは目指したい大学の一つです。

2.サンクト・ペテルブルク大学(ロシア)

QS大学ランク:235位

サンクト・ペテルブルク大学は、ロシア第二の都市サンクト・ペテルブルクに位置し、「ロシアの京大」のようなポジションの大学です。「北のヴェネツィア」とも呼ばれるサンクト・ペテルブルクはロシアでもっともヨーロッパ的で、非常に美しい都市です。1724年設立のサンクト・ペテルブルク大学は、モスクワ大学よりも多い7名のノーベル賞受賞者を輩出していますが、サンクト・ペテルブルク大学の卒業生として有名なのは政治家です。あのプーチン大統領とメドヴェージェフ大統領は、モスクワ大ではなくペテルブルク大の出身なのです。さらにソ連の最高指導者であるレーニンもペテルブルク大出身です。このように、ロシアの名だたる人材を輩出してきたのがペテルブルク大です。モスクワ大学とともに、ぜひとも目指したい大学の一つです。

  1. モスクワ国際関係大学(ロシア)

QSランク:355位

「MGIMO(ムギモ)」の略称で知られるモスクワ国際関係大学は、外交官養成機関として有名で、モスクワ大から分離独立した大学です。「ロシアの東京外大」のような地位にありますが、政府の要人を輩出していることもあって、モスクワ大、ペテルブルク大と並ぶエリート大学として知られています。

  1. ロシア国立研究大学経済高等学院(ロシア)

QSランク:343位

経済高等学院は近年設立された高等教育機関でありながら、現在ではロシアを代表するエリート大学として知られるようになりました。経済を専門としていることから、「ロシアの一橋」のようなイメージの大学です。

  1. バウマン記念モスクワ国立工科大学(ロシア)

QSランク:299

モスクワ国立工科大学は、名称通り工業系の名門大学です。1830年設立とかなり歴史があります。「ロシアの東工大」のような地位にある大学です。

6.ノヴォシビルスク大学(ロシア)

QSランク:244位

ノヴォシビルスク大学は、ロシア第三の都市であるノヴォシビルスクにある大学です。1959年設立と新しい大学ですが、「ロシアの名古屋大」のような地位にあると言えます。ノヴォシビルスクはシベリア最大の都市であり、かなり栄えてはいますが、日本から留学となると気候的に厳しいものがあるかもしれません。

7.ベラルーシ国立大学(ベラルーシ)

QS:354位

ベラルーシ国立大学は、ベラルーシを代表する名門総合大学です。「ベラルーシの東大」のように呼ばれることもありますが、ベラルーシでは優秀な学生がロシアやEUなどに国外流出する傾向にあるため、必ずしも最優秀層が通っているわけではありません。ベラルーシに関する研究など、ベラルーシでしか学べない分野を専攻するならこの大学が一番です。

8.キエフ大学(ウクライナ)

QS:531-540位

キエフ大学は、ウクライナを代表する名門総合大学です。真っ赤な色で塗られた独特のキャンパスが有名です。主な教育言語はウクライナ語になるので、「ウクライナ語を学びたい」という珍しい人にはおすすめの大学です。

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

武蔵野音大卒の声楽家。様々な芸能技法を武田梵声氏に師事しており、音域は8オクターブ(E-1〜E7)に及び、コロラトゥーラなども得意とする。日本とイギリスのハーフで、スペインやベネズエラの血も入っている。人類史上最高の歌手を目指して日々ストイックなトレーニングを重ねている。