楽曲解説「PINE」❸〜作曲法について〜。美とは?

今回は、PINEの曲の作り自体に関して記載していきます。PINEはこちらからお聴きください。

まず作曲法に関してですが、こちらは主に対位法を使用しております。対位法というと、クラシックの作曲家が使っているイメージですが、これは全部のリズムが折り重なるように作られているため、一箇所にドカンとまとまる「縦ノリ」の作りになりにくいので、スマートな印象が出ます。しかし、究極の美の1つの形として、日常でのエントロピー、諸行無常によって万物が流転していく様が挙げられますので、ダサいことは魅力でもあります。ダサいものを愚かな行為として捉えてしまうのは、勉強していない人特有の安直な思想であるので、そうでない人が楽しめる空間を作りたく、尽力しているのです。つまり、わざとダサくするために縦ノリを積極的に使いました。

通常であれば、縦ノリの曲はポリフォニー構成ではなく、ホモフォニー構成で作られる傾向があり、それですとダサいという次元を超えて単純に聴きづらくなってしまいます。そもそもダサいことは悪いことではなく、ダメなのは未熟な技能です。つまり作曲がうまければダサい現象であるコードベタ打ちや西洋音楽での縦ノリも、美として昇華することが可能となります。

そのため、そこを積極的に実施いたしました。Aメロとサビが同じコードで作られ、Bメロを特徴的にしました。この作りでは、通常はサビはコードを動かすところですが、それを回避できます。Bメロからサビに入る際に各パートが分離して動き、低音へと流れて入る「流し」という技法を使い、サビに着水感を出すことができます。

サビの本質とは、エネルギーの留め感ですので、張り上げたり特殊なコードを使わなくても、このように「流し」から着水させると自然とお耳が潤うような作曲にすることが可能です。同じ作りの曲は、外套です。

 

このように流しからのサビは、浮遊感や不気味さを持たせることができます。PINEは落ち着かない精神状態と、自分で意思を決定できない主人公の弱さをうまく表現できたと思います。

作曲は、実は無限に方法があり、技も自在に生み出すことができるはずですが、多くの流布している作品はそのように作られておらず、非常につまらない状態となっておりますので、そのような現状も打破していくつもりでございます。