曲目解説 アルバム『雇はれ蚕Ω』より「雇はれ蚕」- アルバムメイン曲

概要

この曲は僕の作品の中でも最も有名なものかもしません。とにかくアルバム「雇はれ蚕Ω」は1曲ごとの威力が高いので、それぞれの曲に熱狂的なファンがいてくれて嬉しい限りです。というか1人でも好きと言ってくれる人がいたら作った甲斐があります。

曲は、バンドサウンド調で、箏が入っています。オケ作成はEnrichのPUNVAが担当しており、めちゃくちゃ上手い仕上がりで大満足です。アルバムで同じジャンルの曲があるのがかなりシンドいので、1曲ずつ変えております。世界観としては、寺山修司や丸尾末広さんの作品など、ガロ系を意識して作りました。難しい内容だから楽しめないというのは、作曲が下手なだけなので間違いです。難しい内容と楽しさは一体であり、難しいことを的確に伝えるために技術を使っています。

こんなに楽しいことはないのに、と思います。みんな楽しんでほしい世界観ではありますが、これは絶望を知るものに与えられる特権であるのが良いでしょう。

さて、曲の内容に関してですが、朝顔と出会ったことで脱出の方法を手にして親の元から逃げる様子を表しています。一応、曲の公式解説がこちらです。

解説の解説

此世に生まれ堕ちた時から(生まれた時から)

運命を決められ、逃げるス(親に閉じ込められ)

ベを全て奪われた『僕』は(骨抜きにされていたので)

日々を消耗し怠惰に只、精(毎日学校に行かず引きこもってオナニーしていました)

を放ち生きるほか無かつた(それしかしてない毎日です)(精液放出を蚕の系作りとかけている)

しかし毎日咲くあさがほを

眺めてみたところ、何故こ

の救いの無き世界でも君は

笑つて居るのだらうと思ひ(当時のギル慶は植物としか会話が成立せず、朝顔の声が聞こえる)

僕は逃げ出す為の作戦を計(初めて友達ができて嬉しかった)

画し始めるのであった……。

内容の解説

親に支配されていたところから、初めての友達ができて脱出するというストーリーです。今までの曲は鬱な感じでリズムで進行感を確保していましたが、この曲から爽快感が出てきて、ドカンと縦ノリでサビに入ります。基本的には縦ノリにするときはわざとダサくしたいときで、あまり高尚に作ると高校生の感じが出ないので、よろしくありません。あくまでもカッコよさとかはカスであり、芋っぽさ、ダサさがいかに尊く美しいものであるかというところは私は問いたい。それらは未発達であり、率直にいうと何にも向き合っていない雑魚には理解できない素晴らしい美の空間がその先に広がっているのです。

どうしても修行や勉強をしていない方は物事を正確に捉えることが困難になるので、美への認識も雑魚化してしまいます。アートにレベルなんてないとかいう思想もこの不勉強さから生まれてくるのでしょう。雑魚化してしまうと、雑魚向けの曲を量産することとなります。

僕はわざとダサくすることが多く、そこに広がる美の空間を楽しんでいただきたいのです。そこが、勉強や努力だけではなく、自分なりに絶望と戦っている人だけがたどり着ける特別な場所だからです。

さて、曲の解説に戻りますが、この曲のラストで琴が入っており、幼虫から蛹になって、蛾となって羽ばたいて逃げる様が表現されております。丸尾末広さんの作品に出てくる芋虫のような男と称されるキャラが僕は中学の頃から大好きで、そこから取っています。そして通ずるテーマは愛着障害や毒親問題、現代日本の社会問題です。そのような苦しみすらも美しく、楽しめるようになってほしいというような想いでやっている曲です。

緻密に作られた第二ストーリー

また、第二ストーリーがある視点での作りだと、朝顔=ペニスであり、スピリッツ派の彼を考えながらオナニーをしている様子を音響も含めて表しています。そしてサビに入る時のギターの1音は射精を表し、母にバレたから逃げる場面が始まるというという作りになっています。

逃げること=性的なこと=この世の秘密を知ること=罪と言う図式で形成され、大人から見ると面白い様子でも、お母さんに怒られちゃうことや、絶望的な内容であるし、何よりも脱出しようと画策していたことがバレてしまうのが大問題なのです。これらは古代芸能をベースにかなり真面目に作っている内容です。

そして、サビから縦ノリになりテンポが重くなるのも、焦って逃げようとするところを掴まれてしまう時間が遅く感じるシーンを表し、間奏のギターと三連符は浮遊感を出し、羽で羽ばたこうとする姿を表します。「怠惰なこの大きな体」とは、人為的に育てられた蚕の飛べない体を示しております。しかし「ならば、おさらば!」と言って最後に飛び立つシーンを琴で示し、結局ギリギリうまく逃げ切れたことを表現しています。

1つのアルバムで、視点によって4つのストーリーが同時に発生するような作りに設計されています。