◆S.Rachmaninoff×KEI GILBERT
声楽家ギルバート慶のファーストアルバム。
言葉ができる前の人間は危険を知らせる際、鳴き声によって意思を伝えていたため、
現在も声の高さや音色によって感情が反応してしまう現象が起こる。
本アルバムはよりラフマニノフの世界をリアルに感じてもらうために、
この演奏者の情動によって声の音色が変わり情動を伝播させる生体反応を利用。
世界初の試みとして絶望感や怒りの感情が湧いた時をあえて厳選してレコーディングしたため、
短いアルバムではあるものの今までのクラシック音楽を良い意味で「ぶち壊す」ような作品となっている。
◆こころの歌、ピアノにのせて
ピアニストである渡邊拓也の、1stピアノソロアルバム。
自分でない作曲家が作った作品を演奏する際は、(演奏者×作曲者)の音楽の世界の深化が必要である。演奏者の音楽観の押し付けはその楽曲の価値を著しく落とすし、あまりに作曲家にコミットしすぎた演奏は、自分の言葉で喋っていないのと同じで説得力を欠く。
よって、演奏者は自立して音楽ができることが大事であるし、同時に、楽譜を深く細部まで読み込むことは、作曲者からのメッセージを充分に受け取る上で重要である。
本アルバムはピアノソロ名曲集のような顔も持ちながら、一般的な演奏であまり大事にされていない特定の休符やアーティキュレーション、作曲者がはっきりアクセントを書いているがなかなか強調されていないメロディーラインを可能な限り大事に弾き、作曲者の思い描いていた世界を現代のピアノ、演奏者の感性を通じてできる限り具現化しようと表現したものが収められている。
どの曲も歌を聴くようにメロディーがはっきり浮かび上がってくるので、クラシックにあまり馴染みのない人でも、気軽に聴いて頂けるアルバムに仕上がっている。
老若男女を問わず、多くの方に楽しんで頂きたい。
◆Dreaming
ピアニストである渡邊拓也が、自作曲・編曲作品・即興演奏のみを収めたCDを、初めてリリースした。
自作曲では、親しみやすいメロディーや、常識に囚われない自由な和声進行が大変新鮮で、聴く人の心を掴むだろう。
即興演奏の多くは調性から逸脱し、輝かしい光の世界にも、そして目を背けがちな闇の世界にも深く向き合い、「演奏しているその時の感性」に正直に、予定されていない、多種多様な音楽が紡ぎ出されている。
まったく新しい響きの世界、
そして演奏者25歳当時の、嘘偽りない精神の記録を、ここに体感してみませんか。