曲目解説 アルバム『雇はれ蚕Ω』より「布久利」

自身の曲を解説していきます。僕の曲は少数派を対象に作られており、その通りに、一部の人に莫大な反響を受けています。今回は、中でもクオリティがバカ高いと言われるアルバム「雇はれ蚕Ω」の中の1曲目「布久利」を解説していきます。

布久利(ふぐり)は、キンタマのことであり、キンタマは精子を作る期間であることから、生命が生まれる前の空間を示しています。そして同時に英題の「Sacred Cocoon」は「聖なる繭」という意味で、キンタマが僕を守る聖なる繭であるということです。このアルバムはバタイユのエロティシズムや、椎名林檎の発育ステータスの影響を受けて作られており、表面上は一人の人間が毒親から脱出するというストーリーですが、歌詞やタイトルをよく分析していくと、精子やペニスや勃起など、性的な発達を通じて死まで向かっていく喜びが裏ストーリーとなっており、全く違う2通りのストーリーが同時並列で進んでいきます。

布久利はオープニングとして、母を表したファルセットと、西洋的な思想を表すためにオペラ調で形成されています。作曲はEnrichの和田海斗と一緒に行い、僕の意図を200%再現した作りで作曲してくれました。子供にとっては母親は絶対的な安心の地であり、絶対的な恐怖ともなります。優しい声で超絶技巧をふんだんに使用することによってこの対極性のある恐ろしさを表現しました。安全な環境が恐怖の場所になるように、単純に怖いものよりも際立った恐怖表現が可能となりました。

歌唱法は、カストラートを意識したファルセットでの超絶技巧です。しかしクラシック業界では超絶技巧と言われているものは、実は世界中の音楽と比べると、かなり低いレベルの動きしか行っていないので、大変簡単でした。日本の古い曲の方が歌唱が一億倍難しいです。このような簡単な技能が超絶技巧ということになっているクラシック業界はとてつもなくシンドい空間でございました。

歌詞についてですが、歌詞の作成はとても楽しいものでした。EnrichのMakikoと一緒に作成いたしました。内容は、自分の子供が逃げないように「繭」に包み込んでおこうとする母親の愛情です。それが愛情というかはここでは論じませんが、少なくとも母側は愛情だと認識しているので、正義感で突き進んで逃さないことに罪悪感もない感じです。全体の内容は、ちょっと世間離れした空気を帯びていますが、『雇はれ蚕Ω』のアルバム自体、普通の男の子が脱出する様を描いており、あくまでも芸術性は普通の生活の中に誕生する黄泉の入り口だと言いたいわけです。

ちなみに『Ω』は勃起をイメージしています。これについてはちゃんとした理論があり、のちに解説していきます。

難解な理論を駆使した難解なアルバムですが、実は内容は単純に楽しいものに仕上がっております。そもそも勉強した人しかわからないみたいな作品は作り方が単純に雑魚すぎる場合が多いです。この作品は知識がなくてもセンスがある人ならば楽しめます。そして僕は、センスを持っていることは過去に苦しみを背負っていることが必須だと考えています。センスとは何かも今後は解説していきます。

布久利は英語の歌詞ですので、意味が余計分かりにくいですが、日本語訳も載っておりますので、毒親問題、パーソナリティ障害、愛着障害らへんの理論と合わせてお楽しみください。

これらの障害や社会問題と合わせて楽しんでほしいのです。苦しみだと言われていることも、苦しみでさえも耐え続けたり立ち向かって極め続けると、そこに何かが生まれます。その領域まで到達すると苦しみの中に咲く花を見ることができるようになります。それを見つけて楽しんでほしいのです。少数派で、苦しんでいる人に、実は最低と同時に最高の場所にいるんだよということをわかってほしいのです。幸せになってほしくて作品を作っているのです。この曲が楽しく聴けたあなたは、その道を極め、誰も気づかないこの世の本当の「幸せ」を掴む門の前にいるのです。

歌詞のラストのYour my proud…は僕の母親が僕によくかけていた言葉です。