曲目解説 アルバム「ギルバート慶と世界創造」⑪二人

概要

この曲の冒頭の歌詞「抱きしめて首を絞めて」という歌詞は知り合いが「首絞められるの好きなんだよね〜」と言っていて、「この世界にはそんな人もいるんだ」と感銘を受けたことからこのワードをチョイスしました。恋愛は普通の正常とされるスタイルではなく、本質的にはサクリファイスや死の世界、世界創造と密接に関わっている現象であり、宇宙誕生からの記憶に従って行われるので、実はこっちの方が本来の恋愛の姿に近いのですが当時の僕はそのような現象を知りませんでした。

これはふざけて言っているのではなく、自分の固定概念を壊され、この世界の構造や人間という生物は、自分が思い描いていたものと違うという気づきを表しています。つまり、変態とされると行為が、実際は変態の方が正常ということです。これも「雇はれ蚕」と同じで、絶望や死に近づくとき、本当の幸福が咲き始めるということです。

まあ退廃や崩壊が一番美しいとか言ってる僕も世間から見ると相当ヤバい状態ですが…

曲で伝えたかったこと

この曲の内容としては、世界が崩壊した後、生き残った2人で海辺を散歩するという話です。つまり、主人公が本当にしたかったことは社会を変えることでもなく世界創造でもなく、誰かと永遠に一緒に居たかったということです。主人公としては、それには気づいていなく、社会活動という大義名分を持ちながら突き進み実現します。

しかし「ああ、今日の夜、お風呂いこっか」など、一般のあたたかい関係に憧れていた不器用さが表されます。本当は本当のあなたと、向き合いたいのに上手くできなくて世界を崩壊させてしまいます。そしてアダムとイブの2人だけ残り、夢は叶いました。

このアルバム自体、「エヴァ」っぽいと言われることが多いのですが、この曲が大きな所以だと思います。劇場版エヴァのラストシーンで砂浜でシンジがアスカの首を絞めるシーンや、デビルマンのラストシーンで2人だけ体の一部だけ残って生き残るシーンがありますが、それが恋愛の本質であり、この宇宙の形成されてから引き継いでいる記憶の夢を叶えているわけです。そしてこれは前曲のレクイエムの本来の意味するところと合致しています。

恋愛という現象自体が、この宇宙が発生した物理的な現象と同じです。宇宙を形成している組織で人間はできているので、当然宇宙発生時の物理法則を引き継ぎます。ここから考えると、「抱きしめて首を絞めて」という言葉の意味が変わってきます。

地球が海だった頃の記憶や、夕日を見て悲しくなった記憶や、自分が宇宙そのものだった頃の記憶が残存しており、それが現代で出現しているのが恋愛です。

曲の作り

世界崩壊した後、海辺でギターを拾って、ポロポロ奏でるようなコンセプトで演奏しました。決して上手く、綺麗な音にならないように徹底しました。そんなことをしたらぶち壊しになってしまうので、上手い綺麗な演奏をすること自体全く良いとは思わないので、このような重要曲では徹底しています。

途中から相手と心が通じ合っているのか不安になってしまいそこで、今までだったらウジウジしていたところですが、今の主人公は成長し、不完全な形すらも愛せるよう、努力して勇気を出して運命を変えられるように、決意できるようになりました。

「けれども、私はとても幸せ」という言葉にこのアルバムの全てが込められており、世界を崩壊までさせても何も手に入ったとしても、手に入らなかったとしても、自分は今幸せだと、納得して思えることができるようになったと示しています。

終わりに

このアルバムにも、高尚な精神や綺麗な愛は出てきません。そんなものは映画やドラマのように簡単には獲得できません。とにかく努力をしてダメダメで休んでもなんとかできる範囲で向き合って、ちょっとずつちょっとずつ自分の心を育てていくことが重要です。

このアルバムを通じて描きたかったのは「君が本当に欲しいものは?」という疑問を、神である父や視聴者に問いかけることです。

また、CD版限定で、隠しトラックとして「FEEL YOUR MIND」という曲が入っており、これは幼児期の記憶を元にしたもので、父の愛、母の愛とは?幸福とは?本当に欲しいものは?という幼児的な景色から見た欲求を表現しています。

 

 

 

 

 

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