曲目解説 アルバム「我が子よ!お前は花のように美しい」❺我が子よ!お前は花のように美しい

歌詞

Дитя! как цветок ты прекрасна,
Светла, и чиста, и мила;
我が子よ!お前は花のように美しい
清らかで明るく愛くるしい

Смотрю на тебя… и любуюсь, –
И снова душа ожила…
お前を見ていると 
私の心は再び生命をもつ

Охотно б тебе на головку
Я руки свои возложил,
幸福に満ち溢れ
お前の頭を撫でてみたい

Прося, чтобы Бог тебя вечно
Прекрасной и чистой хранил.
神に願う
お前が永遠に美しく清らかであるようにと

(曲:ラフマニノフ 原詩:ハイネ 訳:俺)

曲の解説

原詩はハイネの«Du bist wie eine Blume…»ですが、ロシア語に翻訳された際に「Du(あなた)」が「Дитя!(愛しい子に対して使うワード)」に変化して、意味が変わったものです。大切な恋人に「Baby」と言ったり中国語だと「宝貝(baobei」などに近いワードですね。同じハイネの詩を使った曲にシューマンの『ミルテの花』があり、翻訳で別の意味になっちゃってるし、聴き比べも面白いですね。

この曲は大きく分けて
❶普通に恋人を慈しむ曲
❷子供を慈しむ曲
❸ラフマニノフの子供が死んだ際に自分の子供を慈しむ曲
という3つの解釈があり、❸の説を聴いた時は大変感動したのですが、
ラフマニノフより娘の方が後に亡くなっているので、
公表されている情報が正しければガセです。
しかしラフマニノフの気持ちを歌っているとは限らないので、
そういうコンセプトで作曲された可能性は一応あります。

演奏について

当時の僕はバスバリトンだったので、このような低声の男性的な歌唱を得意としておりました。歌唱も、ラフマニノフが娘に向けて打っている想定で演奏しました。(人間の音域や音色、歌唱は本来はさらにずっと広いので、声部をバリトンとかソプラノとかに分けている時点でかなりおかしい事をしているのですが、説明が長くなるのでここでは言及しません)

一番盛り上がるПрося(プラシャー)のところは、ラフマニノフの曲には珍しく歌と伴奏が縦のラインでドカンと鳴るのと、全体的に和音によるクラスターで構成されており、他の曲と比べると異質な作りとなっておりますが、これも一つの正解といいますか、非常に素敵だと思い、アルバムのタイトルにもいたしました。

音的に、恋愛のような情熱ではなく、落ち着いたしっかりした父親の感じを表現するため、太い声でもため息混じりのような、囁くようなスタイルにいたしました。

とても気に入っており、アルバムの中で最も評判の良い1曲です。